一夫一妻制は性感染症を抑えるため?

<一夫一妻制は性感染症を抑えるため?>

 人類の歴史を見ると、人間社会は一夫多妻制で、1人の男性が複数の女性配偶者を持つ事が許されていました。
ところが農業文化の広まりとともに、現在ではそれとは対照的に一夫一妻制が中心となっています。
 今回その理由として、一夫一婦制により性感染症が抑えられるためとする研究が報告されました。

 これはカナダ・ドイツの研究チームが、今年四月号のNature Communications誌に発表したものです。

論文タイトル: Disease dynamics and costly punishment can foster socially imposed monogamy
著者: Chris T. Bauch & Richard McElreath,
科学誌名: Nature Communications 7, 11219 12 April 2016 doi:10.1038/ncomms11219

 人口の変化や疾患に関するデータを解析したところ、構成員が30人以下の小規模社会では性感染症は集団発生しても短期間で収まるのですが、それ以上の大きさになると風土病のレベルに達し、集団の出生率が低下していることが分かりました。

 即ち、人間社会が大型化すると性感染症が流行しやすい一夫多妻制のリスクが高まるため、大勢の人間が共に生活しやすい一夫一妻制が社会規範になった、と結論されています。

 愛情を重んじる社会となって来たから、と信じたいのですが・・・。