妊娠中にビタミンDを摂ると、自分の子供の骨粗鬆症を予防できる

<妊娠中にビタミンDを摂ると、自分の子供の骨粗鬆症を予防できる>


2015年における骨粗しょう症の患者さんは約1300万人で、その8割が女性です。
また、骨粗しょう症が原因で骨折した人は年間およそ15万人にのぼり、くしゃみやせきでも骨折する人が増えているとのことです。
 この骨粗鬆症対策は、高齢化社会を迎えた日本の大きな課題で、将来寝たきりにならないためにも、若いうちからその対策を講じておく必要があります。

 さて、この骨粗しょう症を予防するには、お母さんが妊娠中にビタミンDを多く摂っておくことが重要で、将来その子が大きくなって高齢になった後には、骨粗鬆症になりにくくなると考えられるそうです。
 これは、ニューヨークにある関節疾患専門病院(Hospital for Joint Diseases)骨粗鬆症センター長のStephen Honig博士らが、英医学誌「Lancet」に報告したものです。

 研究では、1991年および1992年に英サウサンプトンの病院で出生した小児198例を対象に、妊娠期間の母体の体格、栄養状態およびビタミンD値をしらべ、また、出産後に小児が9歳になった時の体格および骨量を測定しました。
 その結果、母親の妊娠後期にビタミンD値が低かった場合は、その子供の骨塩量も低いことがわかりました。
 一方、母親がビタミンDを補充しており、かつ日光にあたった場合では、ビタミンD欠乏症となる割合は低い事が分かりました。
 また、臍帯(さいたい)血中のカルシウムが低値の場合も、骨量が低下している事がわかりました。
 これらの結果から、妊娠後期にビタミンDの補充が不十分な母体から生まれた子供の骨は脆弱(ぜいじゃく)で、後年その子が骨粗鬆症になるリスクを高めているとしています。
 逆に、妊娠中の女性が自分の栄養に気をつけておけば、一世代後の子供がお年寄りになった後でも、その効果が続くということです。
 骨粗鬆症については、閉経との関係を述べた論文は多くありますが、もっともっと早い時期の妊娠時の状態も、後年大きな影響を与える可能性があるわけです。
 また、この論文によると、日光量の少ない冬場に妊娠後期が重なる場合には、特に子供の骨を強化するため、ビタミンDの補充をするよう勧めています。