大腸がんのリスクを下げるには、食物繊維を摂る

<大腸がんのリスクを下げるには、食物繊維を摂る>


 このところ大腸癌にかかる人が非常に増えており、主として結腸がんの増加が顕著です。
以前はハワイの日系移民が日本人より高く、欧米白人と同程度であることが知られていましたが、最近では結腸がん・直腸がんともに、日本人はアメリカの日系移民および欧米白人とほぼ同じになっています。

その原因として、日本人の食事の西洋化に原因があるといわれています。
実際、過体重と肥満の人では結腸がんリスクが高く、また飲酒は大腸がんのリスクであることが明らかになっています。
特に、加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)は、大腸がんリスクの可能性があるといわれています。
 
さて、この大腸がんのリスクを下げるには食物繊維を摂るのがよく、逆に食物繊維の量が少ないと大腸がんの発症リスクが高くなる事が、厚生労働省の研究で明らかになっています。

 厚生労働省の研究班(主任研究者=国立がんセンターがん予防・検診研究センター津金昌一郎氏)らが、がん研究の専門誌であるInternational Journal of Cancer に報告したものです。

 研究は、1990年及び93年に、岩手県秋田県、長野県、沖縄県茨城県新潟県高知県長崎県沖縄県、及び大阪府の10ヶ所の保健所管内に在住していた、40〜69歳の男女約10万人について調べたものです。
 これらの人について2002年まで追跡調査し、その結果に基づいて、食物繊維の摂取量と大腸がん発生率との関連を検討しました。

 その結果、食物繊維の摂取量と大腸がんリスクの間には関連性が認められず、また食物繊維を1日10グラム以上摂っても特に大腸がんの予防効果はない事が明らかになりました。

 ところが逆に、食物繊維の摂取量が少ないと、大腸がんの発症の危険性は、2.3倍に高まることも同時に分かりました。
 食物繊維摂取量の少ない女性グループについて調べたところ、そのグループでは食物繊維を多く摂るグループに比べて、大腸がんの発症者が2.3倍にまで高くなっていたのだそうです。

 以上の結果から、食物繊維の適度な摂取が健康維持に重要としています。
 ちなみに厚労省生活習慣病予防などの観点から、大人で15−20グラムの目標を掲げていますが、特に大腸がんの予防効果だけに限るのならば、10グラムで足りるかもしれないということです。