白ワインも、赤ワインに劣らず身体に良い。

<白ワインも、赤ワインに劣らず身体に良い。>


 フランス人はあれほど多くの美食をしていても、心臓疾患で亡くなる人が少ない事が知られています。これはフレンチパラドックスといわれるもので、フランス人がワインを沢山飲むのがその理由だと、説明されています。

 そしてそれには、赤ワインでなくてはならないとされてきました。
 ブドウの皮に含まれる紫色色素が、ワインを作る際に赤色の元となるのですが、白ワインを作る際にはこの皮の部分を取り除くので、白ワインには心臓によいポリフェノール類はあまり含まれていないと考えられていたのです。

 ところが赤ワインに限らず白ワインも、心臓に良い効果をもたらすという報告です。

 これは、米国化学会が発行している「農業と食物」誌に、コネチカット大学医学部のDipak K. Das博士らが、イタリアのミラノ大学などと共同研究を行った結果を報告したものです(Journal of Agricultural & Food Chemistry, ;論文タイトル:Comparison of Cardioprotective Abilities Between the Flesh and Skin of Grapes)。

 この研究は、心臓によいといわれる物質が皮だけでなく、果実の部分にもあるのではないかという視点から行われたものです。

 研究ではラットを使用し、このラットを3群に分け、通常の食事を与えた群をコントロールとした群、体重1kgあたり2.5 mgのブドウの果実部分を含む食事を与えた群、及び2.5 mg/kgの果皮を含む群に分け、それぞれ30日間飼育しました。
 そして、30日後にラットの心臓を取り出して、虚血状態にした後に再潅流を行い、心臓の動きを調べました。

 先ず、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、果皮や果実に含まれる成分を分析したところ、予想どうり、果実には皮に比べて、クマール酸類(sis-, trans-& p-coumaric), カフェイン,桂皮酸、カテキンなどのポリフェノール分などの抗酸化物質が少ない事は確認されたのですが、グルコースや果糖、酒石酸、マレイン酸などの成分は、どちらにも同程度含まれることが分かりました。

 更に電子常磁性共鳴(EPR)スぺクトメトリーで、過酸化物を除去するヒドリキシラジカルの量を調べたところ、果実及び果皮共に同程度が存在することが明らかになりました。

 また、これらの食事で育てたラットの心臓に存在する、全マロン酸アルデヒドの量を比べたところ、果実や皮を食べたラットでもほぼ同様存在する事がわかりました。

 以上の結果から、ブドウの果実にはポリフェノールの一種である紫色色素アントシアニンがあまり存在しないにも拘わらず、皮にあるのと同じ量の心臓疾患を防ぐ抗酸化物質が含まれており、心臓によい効果をもたらすことが明らかになったとされています。

 実は私は、赤ワインより白の方が好みなのですが、今までは体によいからとして赤を呑む事が多かったのですが、これからは自信を持って白ワインも飲むことにします。