二つの事は同時にできない

<二つの事は同時にできない>


聖徳太子は、7人の話を同時に聞き分けることが出来たと云われています。
ところが最近の研究で、二つのことを同時にするとどちらも中途半端になる理由が、ニホンザルの脳の研究で明らかになりました。

これは、京都大こころの未来研究センターの船橋新太郎教授らのグループが、英国科学誌のネイチャー・ニューロサイエンス誌に報告したものです。

論文タイトル: Neural mechanisms of dual-task interference and cognitive capacity limitation in the prefrontal cortex
著者: Kei Watanabe & Shintaro Funahashi
科学誌名: Nature Neuroscience (2014) doi:10.1038/nn.3667 Published online 02 March 2014


我々一般人は二つのことを同時にこなすことが出来ませんが、この現象は「二重課題干渉」と呼ばれています。
しかし、なぜ我々が聖徳太子のようになれないかはよくわかっていませんでした。

そこで研究では、ニホンザルに記憶と注意力に関する課題を同時に行わさせる様に仕向け、その際の大脳(前頭連合野)の動きを調べました。

その結果、それぞれの課題を担う神経細胞の活動は、課題が一つだけの場合に比べて大幅に低下することが分かったそうです。
研究グループによると、「神経細胞が互いの活動を制限し合っている」と考えられるとの事です。

聖徳太子を否定するわけではありませんが、科学的には我々の脳の方が普通のようで、何かをするにはそれに向かって集中するように作られているようです。