卵は生活習慣病のリスク?

<卵は生活習慣病のリスク?>



以前、「卵を食べると早死にする?」という話題をお送りしましたが、ご存知のように、卵(鶏卵)にはコレステロールが非常に多く含まれており、卵1個が300gのステーキに相当する程だそうです。
そういう訳で、コレステロール値の高い人は、卵を食べるのを躊躇しておられるようです。

そこで今回は、約1万人の米国人を16年間追跡した調査により、元々健康な人ならば1日1〜2個の卵を食べても、冠状動脈疾患や脳梗塞の発症は増えないことが確認されたという話題です

これは、ニュージャージ医科歯科大学のAdnan I. Qureshi氏らが報告したもので、コレステロール値の高い人もやや安心、ということです。

研究では、生活習慣と疾患の関連性を追跡した大規模研究(NHANES-I Epidemiologic Follow-up Study)の参加者のうち、卵の摂食歴があり、且つ心筋梗塞脳卒中の既往歴などがない9,728人について調べました。

このうち1,961人が1日当たりの卵摂取量が1〜2個で、7,233人は1日1個以下、また534人は卵を全く食べていなかったそうです。 なお、1日当たり2個以上の摂食者はこの研究の対象にはなっていません。

これらの人について平均15.9年間にわたる健康の追跡調査をしたところ、654件の脳卒中(うち590件が脳梗塞)と1,583件の心筋梗塞が発生しました。

次に、このような人について卵の摂取量と各疾病になる頻度を調べたところ、年齢、性、人種、糖尿病、血圧、BMIなどを勘案しても、脳卒中や冠状動脈疾患になる危険率と卵の摂取量の間に有意な差は見られなかったそうです。

このことから研究者等は、元々健康な人ならば1日1〜2個の卵を食べても、冠状動脈疾患や脳梗塞を発症させることはないとしています

しかしその一方で、糖尿病を発症していた群(348人)では、卵を1日に1〜2個食べる人では1日1個以下の人に比べて、心筋梗塞になる危険率が1.7倍と有意に高かったそうです

従って、既に生活習慣病になっている人では、やはり卵を多く食べる事は何らかの問題を生じさせ易くしている可能性があります。


元々健康な人は1日2個程度の卵を食べても、それが原因で冠状動脈疾患や脳梗塞になりやすくなることはなさそうですが、既に生活習慣病になっている人は、やはり避けた方が賢明のようです。