「医師に任せ切りの治療を望まない」:国内でも多数意見

<「医師に任せ切りの治療を望まない」:国内でも多数意見>


 疾患を患っている患者さんのほとんどは、自分自身の病気の治療法に対してより積極的な関与を望んでいるという研究結果が、BMC Family Practice誌に報告されています。

 これは京都大学病院の調査により明らかとなったもので、同病院を訪れた患者さん134名の結果だそうです。
 調査では、患者さん達が、自身の治療法や治療予測に関する説明を受ける場合に、“治療方針に、何らかのかかわりを持ちたいか”という内容の質問をしました。

 その結果、71%もの患者さんは、「治療方針について、医師と相談・協力して決めたい」と考えているのに対し、「自分の代りに、家族と相談してほしい」と考えているのは、わずか16%だったそうです。
 また、30%の人が、「自分自身で、最終決断をしたい」と考えていることがわかりました。

 今まで日本各地の病院では、患者さんに対しては、病気の症状やその治療予測・治療方針などの説明をあまりおこなわないことが普通でした。特にその病状が重い場合、なおさらでした。
 このような習慣は、医学的な知識の乏しい人が誤解をしないように、或いは余分な心配をしないようにといった配慮からとされていました。
 また、診断結果が悪い場合には、患者さん本人に伝える事を避け、先ずは家族にその内容を伝えて同意を得るのが第一とされていました。

 このような考えは、確かに患者さん本人の精神的な苦痛を和らげるのに有効的な面もあります。 しかし、自分自身が病気と闘うという積極的な意思が損なわれます。

 今回の調査により、今まで受身的だといわれてきた日本の患者さんも、自身の病気に対しては積極的に闘うという意志が強い事が確認されたわけです。


 最近、本屋さんでも家庭医学書のコーナーが充実してきました。これも、このような自分の病気をよく知りたい、そして積極的に病気と闘いたいという願いの現れのように思えます。