気温が2度上がると、集団的暴力が50%増加する

<気温が2度上がると、集団的暴力が50%増加する>


世界の平均気温が摂氏2度上昇すると、世界各地で集団間暴力が50%以上増加する可能性があるそうです。

気温と降水量が平均値から外れると、レイプや殺人、さまざまな社会的紛争の発生件数が顕著に増加する可能性があることが、最新研究によって明らかになりました。


これは、カリフォルニア大学バークレー校とプリンストン大学の研究チームが、有名科学誌Scienceに発表した内容です。

論文タイトル: Quantifying the Influence of Climate on Human Conflict
科学誌名: Science DOI: 10.1126/science.1235367 (Published Online August 1 2013)
著者: Solomon M. Hsiang, Marshall Burke, Edward Miguel


研究は、経済学、心理学、気候学、考古学、政治学など、幅広い学術分野の研究から集めた45のデータセットを再解析したものです。

新しい統計モデルを用いてこれらのデータを再評価したところ、気候変動は人間の社会的および個人的行動に影響を及ぼすことが明らかになりました。

論文では、「気温が上昇、または降水量が異常といった、気候が1標準偏差(1σ)変化するごとに、個人間暴力の発生頻度は4%、集団間紛争の発生頻度は14%上昇する」とされています。
なお、1σ以上の変化とは、データの一般的なばらつき(標準偏差値)以上の数値が示される場合を云います。


今年の夏は、40℃を超える異常気温、ゲリラ降雨などの異常降雨などが頻繁に起こっていますので、この気象変化が人の心に与える影響を考えると心配になってしまいます。

ちなみに、今回の研究で示されている気候と暴力性との相関関係がみられた事例としては、干ばつの時期にインドとオーストラリアで家庭内暴力が増加し、猛暑の時期に米国とタンザニアで暴行と殺人が増加した例が示されています。

また気温上昇では、ヨーロッパと南アジアにおける民族間抗争、および熱帯地域における内戦の発生にも関係があるとされています。
そして、内戦の発生頻度は、エルニーニョ現象で暑さと乾燥が激しくなると2倍に上昇していたそうです。