奥歯が無くなるとアルツハイマー病が進行

<奥歯が無くなるとアルツハイマー病が進行>


奥歯を失うとアルツハイマー痴呆が悪化することが明らかになりました。
これは、広島大の研究チームがマウスの実験で突きとめたもので、英国科学誌「Behavioural Brain Reserch」電子版に掲載されています。


論文タイトル: Tooth loss induces memory impairment and neuronal cell loss in APP transgenic mice Original Research Article
医学誌名: Behavioural Brain Research, Volume 252, 1 September 2013, Pages 318-325
著者: Hiroshi Oue, Yasunari Miyamoto, Shinsuke Okada, Katsunori


今までも、歯を失うとアルツハイマー病になりやすくなる事が疫学調査で知られていたそうです。
また、アルツハイマー痴呆症自体は、脳内にアミロイドβという異常なたんぱく質が蓄積することで症状が進むと考えられており、歯を失うことと関係があるかどうかが問題となっていました。

そこで、赤川名誉教授らは、遺伝子操作を用いてアルツハイマー病を発症するようにしたマウスを対象にして、抜歯後のアルツハイマー病の進行度を調べました。

研究では、アルツハイマー発症マウスに、暗い部屋に入ると電気ショックを受けることを覚えさせてから、左右の奥歯6本を抜き、その影響を調べたそうです。

すると、約4カ月後には、歯を残した方は7匹全てが暗い部屋に入るのをためらったのに対し、抜歯したマウス10匹中6匹がためらいなく入ることが分かりました。
次にこれらのマウスの脳内における変化を調べたところ、アミロイドβの蓄積自体は差はなかったものの、記憶をつかさどる脳の海馬の細胞数は抜歯したマウスでは少なくなっていました

この結果から、アミロイドβの蓄積とは関係なく、海馬の細胞が減ることで学習や記憶能力が低下したと考えられます。

噛むことによる脳への刺激や脳の血流量が減る影響が考えられることから、歯の喪失を防げば、認知症の発症予防や進行抑制につながることも期待されるそうです。

食べるための道具としてだけでなく、歯は大事にしなくてはなりませんね。