笑いの効用:糖尿病、コレステロール値、心臓疾患に効果

<笑いの効用:糖尿病、コレステロール値、心臓疾患に効果>

皆様、お正月は如何がお過ごしでしょうか?
本年もよろしくお願いいたします。

では、2010年最初の話題をお送りします。

ユーモアが糖尿病を改善し、コレステロール値を下げ、心臓疾患のリスクを低下するというお正月向きの話題です。

これは、カルフォルニア州Loma Linda大学のLee Berk博士らが、ニューオーリンズで開かれた「第122回全米生理学会年会(2009年4月18-22日)で報告したものです(タイトル: Mirthful Laughter, As Adjunct Therapy
in Diabetic Care, Increases HDL Cholesterol and Attenuates Inflammatory Cytokines and hs-CRP and Possible CVD Risk. )。

研究では、20名の高血圧及び高脂質血症の患者さんを2群に分け、一方をL群(laughter笑う群)、他方をC群(コントロール対象群)としました。

そして、これら両群に、糖尿病、高血圧及び高脂質血症に対する標準的な投薬治療法を行いました。

この間、L群には、標準的な治療に加えて、30分間ユーモアのある画像等を毎回見てもらったそうです。

そして、12ヶ月間にわたって血液検査を行い、エピネフィリンやノルエピネフェリンなどのストレスホルモンのレベル、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ), IFN-γ(インターフェロンガンマ)、IL-6(インターロイキン6)などの炎
症性サイトカイン、更に炎症のマーカーであるCRP(C反応性たんぱく質)の血液中の濃度を調べました。

その結果、L群の笑いを多く出来た人では、2ヵ月後にはエピネフェリンやノルエピネフェリン値が低下し、ストレスのレベルが低下していることが明らかになりました。

また、同時に善玉コレステロールのHDLが増加しており、さらにTNF-α, IFN-γ, IL-6、CRP値も低下しており、炎症症状が改善していることが分かりました。

特に12ヵ月後には、L群では以下のような顕著な改善が明らかになっています。
1)HDLコレステロールは、対象群では3%の増加であったのに対し、L群では26%増加していた。
2)危険な炎症マーカーであるCRPたんぱく質のレベルは、L群では66%低下していた(対象群では26%の低下)。

以上の結果から、楽しい笑いをすることにより、通常の治療効果を劇的に高めることが確認できたとされています。


この研究は海外のものですが、日本でも様々な研究報告がなされています。
特に筑波大名誉教授の村上先生の研究は有名で、最新の分子生物学的手法をもちいて、笑いの効用を明らかになっています。


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