がん予防には、ビタミン単独では効果なし。他の食物と一緒に!

<がん予防には、ビタミン単独では効果なし。他の食物と一緒に!>

 がんの予防によいのではないかと、様々なサプリメントが世に出まわっています。
 しかし、このところの報告をみますと、ビタミンB、葉酸ビタミンD及びカルシウムサプリメントなどは、あまり癌の予防には効果がなさそうです。

 更に今回、ビタミンCやEも同様に癌の予防には有効ではないとの報告がありました。とても気になる内容でしたので、お知らせします。

 これはボストンのブリガム婦人科病院のHoward Sesso博士が、ワシントンで開かれが全米癌研究アカデミー学会で発表したもの(2008, Nov. 23)で、心臓疾患の予防にも役立たないとしています。

 研究は約15,000人の男性医師が参加したもので、ランダムに500mgのビタミンCサプリメント及び400国際単位のビタミンEを、1日毎に10年間にわたって服用した結果をまとめたものです。
 なお、参加した男性医師は、試験開始時には50歳以上だったそうです。

 この間に、1,929人に癌が発生し、1,013人は前立腺がんに罹りました。
 その詳細を見ますと、ビタミンEを摂っていた人のうち490名が前立腺がんを発症しており、プラセボ偽薬群の523名と比較して、統計的な差は殆ど見られませんでした。

 同様の結果は、ビタミンCにおいても見られ、サプリメント摂取群とプラセボ偽薬群でいずれも統計的な有意差はなかったとされています。

 しかし、今回の結果に対しては他の研究者は予想していたようで、今までの研究報告を再確認したにとどまっているという評価もあるようです。

 例えば、ニューヨーク大学癌研究所のJennifer Crum氏によると、このようなビタミン類を単独で服用しても無駄であり、癌の予防にはこれらを他の食品と共に摂ることが重要であるとしています。
 そして、一案として、食品にこのようなビタミン類を添加すれば、ガンの発生率は低下するだろうと述べています。
 さらに、他の食品との組み合わせの重要性を認識すべきであり、ようやくそのような考え方が認められつつあると強調しています。

 同様の考え方から、カルシウムサプリメントが大腸がんに有効かを調べた結果も報告されています。
 カルシウムサプリメント単独ではなく、他の食事と共に摂ることで大腸がんの発生率が低下したことが、ナッシュビルのVanderbilt大学の研究者らが報告しています。

 さて、今までも化学合成したビタミンやサプリメント成分よりも、天然由来のものの方が有効であるとする考えは広く行き渡っています。
 即ち、単独のサプリメントではあまり効果はなく、食品全体と共に摂ることにより、その効果が高まる可能性は十分に理解できます。

 ただ、そうなると各成分の効果判定が難しくなり、効能効果を前面に出したい企業さんにはあまり望ましくないかもしれませんね。


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