期待の乳がんの新薬アバスチン

<期待の乳がんの新薬アバスチン>


期待の新抗がん剤アバスチンについて、乳がんに対する適応追加の承認申請を、中外製薬厚生労働省に行ったという話題です(2009年10月16日)。

このアバスチンは、がん細胞に栄養や酸素を供給する血管の新生を阻害する抗体医薬です。
患者さんや医療関係者から非常に期待されているのですが、現時点では国内では承認されていないため使用できませんでした。 
そのため、個人輸入などで入手するより他はなかったのです。

このアバスチンは既に米国での承認を受けているのですが、その承認の際に米国食品医薬品局(FDA)は、専門家の反対を押し切って決定したいわく付のもので、患者さんやがん専門医らは一様に驚いたものです。
腫瘍を縮小させる効果はあるものの延命効果はなく、生活の質(QOL)も向上しないという理由で、諮問委員会でも、承認賛成4票、反対5票で、アバスチンの承認却下を勧告したほどです。

しかし、乳ガン以外のがんの治療においては有効性が認められていたため、これを根拠に押し切ったというのが実情のようです。

日本国内でも、結腸・直腸ガンや肺ガンの治療薬としては3年前から販売されていますが、乳がんに対しては承認されていませんでした。

欧米では結腸・直腸がん、非小細胞肺がん、乳がんの適応を持っており、2008年の全世界売り上げは約5000億円で、製品売り上げランキングでは15位につけているほどだそうです。

今回ようやく日本でも承認を受けるべく、申請したという段階です。

アバスチンは、世界の新薬が日本国内では使用が何年も遅れる、"ドラッグラグ"の薬として有名で、そのために悔しい思いをされた方も多いと思いますので、日本国内での1日も早い承認申請が待たれます。


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