ビタミンKは、高齢者のインシュリン抵抗性を改善する

<ビタミンKは、高齢者のインシュリン抵抗性を改善する>


 インスリン膵臓から分泌されるホルモンで、血中のグルコースを使ってエネルギーを作り出します。そのために、血糖値が下がることになります。
 一方、インスリンの分泌が不足し、作用が低下すると、血糖値の上昇が起こり糖尿病を発症することになります

 さて、インスリン抵抗性とは、血中のインスリン濃度に見合った作用が起こらない状態です。
 ご存知のように、インスリン抵抗性は2型糖尿病の病態で、最近の糖尿病増加の原因はインスリン抵抗性によると考えられています。
 さらに肥満、高血圧症、高脂血症動脈硬化症の危険因子ですので、これを治療することが重要です。

 今回、ビタミンKは高齢者のインシュリン抵抗性を改善することが、タフツ大学エージング研究センターのSarah Booth氏らの研究で明らかになりました。

 これは、60-80歳の355名の高齢男女が参加した、3年の臨床試験でわかった
もので、糖尿病関連専門誌Diabetes Car(2008、Nov, issue)に報告されています。

 この試験では、ボランティアの男女に毎日500mgビタミンK或いはマルチビタミンを服用してもらい、血液中のグルコース量及び血中のインシュリン量を測定し、またインシュリン抵抗性は(HOMA-IR)という方法により調べました。
 なお、ここで使用したビタミンK量は、通常の推奨量の5倍量に相当するということです。

 その結果によると、ビタミンKサプリメントを服用した男性では、臨床試験終了時までにインシュリン抵抗性が改善していました。
 さらに、インシュリン抵抗性の改善に加えて、ビタミンKサプリメントを摂った男性では血液中のインシュリン量も低下していたということです。

 今回の結果では、男性にはビタミンKが有効だったようですが、女性に対してはあまり効き目がなかったとされています。
 そして、ビタミンKは脂肪に蓄えられえるので、肥満で脂肪体型が多い女性では、有効にビタミンKが細胞にまで到達できなかったのではないか、とされています。

 さて、この研究ではビタミンKサプリメントが使用されていますが、通常の食事から摂取するほうがより効果があると考えられると、論文では指摘されています。
 即ち、ビタミンKは、芽キャベツブロッコリー、ほうれん草やキャベツなどの黄緑色野菜に多く含まれていますので、これらの野菜を多く摂る事が、インシュリン抵抗性を改善するのに有用と云うことですね。


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