緑茶: 前立腺がんのリスクを下げる。
●緑茶: 前立腺がんのリスクを下げる。
前立腺がんは、欧米では男性のがん死亡者数の約20%を占めるがんです。
従来は、前立腺がんには日本人はなりにくいとされていたのですが、このところの食事の欧米化および高齢人口の増加に伴い、その発生頻度は増加中です。
年齢別にみますと45歳以下の男性ではまれですが、50歳以後その頻度は増加するため、前立腺がんは高齢者のがんであるといわれています。
さて、最近の調査で、緑茶を1日5杯以上飲む男性では進行性の前立腺がんになりにくく、癌になる危険率が半減していることがわかりました。
これは、厚生労働省の研究班(班長=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査でわかったものです(2007年12月19日)。
調査は日本全国10地域でおこなわれたもので、40〜69歳の日本人男性約5万人を対象にして、1990年代初めから2004年までの追跡調査をまとめたものです。
なお、これらの男性のうち、この間に404人が前立腺がんと診断されていたそうです。
次に緑茶を飲む頻度をしらべ、それを基にグループ分けして、癌になるリスクを比較しました。
その結果、これらのグループにおいては、前立腺がんになる頻度自体にはあまり差は見らなかったそうです。
ところが、前立腺内にとどまる早期がん(271人)のリスクと、前立腺外に広がっている進行がん(114人)のリスクには明らかな差があり、進行がんは緑茶の摂取量が多いほどリスクが低くなっていることがわかりました。
ちなみに、緑茶1日5杯以上飲む習慣がある人では、1日1杯未満の人に比べて、進行性のがんになる危険性は52%に減っていたそうです。
緑茶を飲むと動脈硬化になりにくくなり、また癌の予防に有効であるという研究は今までも多くあります。
そして、緑茶の成分であるポリフェノールの一種であるカテキンが、癌を引き起こす活性酸素を消去し、がん細胞の発生や増殖をおさえることが明らかにされています。
また動物実験などで、緑茶が、前立腺がんの危険性を高める男性ホルモンのレベルを抑えることも報告されていました。
しかし、ヒトを対象とした疫学調査で、進行前立腺がんを予防する効果が示されたのは、今回が初めてで、非常に期待のもてる結果です。
緑茶は日本の誇る飲料です。
私も緑茶は毎日好く飲みますが、今後更に研究が進み、緑茶の有効性が明らかになることを祈ります。
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