抗うつ剤:青少年の自殺を引き起こす。
● 抗うつ剤:青少年の自殺を引き起こす。
最近の社会状況を反映してか、うつ病が大きな問題となっています。
超高齢化時代を迎えての高齢者の方、職場環境の変化による中高年令層の方、
そして自分の将来像を描けない青年層、或は学校生活の不安などの青少年、そ
れぞれが不安な日々を送っています。
このようなうつ病に対しては、様々な治療薬が市販されており、確かに有効
な治療法となっています。
ところが、抗うつ薬を青少年が服用すると、自殺願望が高まり、危険な状態
になる可能性が高いという警告を、米食品医薬品局(FDA)が行いました。
これは、パキシル(塩酸パロキセチン水和物:売上高は昨年、日本国内で約
500億円。抗うつ剤の中で国内シェア最大)を含む全ての抗うつ薬に対してで、
24歳以下の青少年が「服用すると自殺のリスクが高まる」との警告文を添付す
るよう諮問委員会に提案し、それが認められたというものです。
ちなみに、今までも同様の添付警告は“小児と思春期の患者”に対してなさ
れていたのですが、今回更に24歳以下にまで拡大するよう働きかけたものです。
FDAが、パキシルやプロザック、ゾロフトなど11種の抗うつ剤に関する計
10万人に及ぶ治験データを調べたところ、18〜24歳の患者では、自殺や自殺未
遂、自殺願望を持った事例が多かったという事が元になっています。
日本では、厚生労働省が2006年6月に、パキシルの添付文書に対して「若年
成人に投与中に自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されているため、注
意深く観察する」との注意喚起を行っています。
そして、今回のFDAの対応については「情報収集し、新たな対応が必要か
どうか検討したい」(安全対策課)との慎重な態度を取っています。
ちなみに、臨床医などから、そのような警告は有効な薬の使用に歯止めをか
ける場合もあるのでは、との意見もあり、そのため慎重になっているのかもし
れません。
「クスリはリスク」といわれるように、必ず副作用が伴います。
薬の服用による、利益と不利益を常に考えながら使用する事が重要です。
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