カレーを食べると、大腸がんになりにくくなる!?

● カレーを食べると、大腸がんになりにくくなる!?


 最近西洋食を食べる機会が多くなったせいか、大腸がんに罹る人が非常に増
えてきています。
 そして、やれ食物繊維を多く食べろだの、赤身肉は避けろなど、いろいろと
いわれています。

 さて今回、カレー粉に含まれる成分が、大腸がんを抑える事が分かりました
ので、お知らせします。

 この研究は、ジョンホプキンス大学Francis M. Giardiello博士らが、臨床
胃腸肝臓医学誌(Cruz-Correa, M. Clinical Gastroenterology and Hepatology,
August 2006; vol 4: pp 1035-1038.)に報告したもので、カレー粉に含ま
れる成分が、実際に大腸がんの前がん状態を改善することを示した最初の報告
として注目を集めています。

 研究では、大腸の前がん状態であるポリポーシスを作りやすい遺伝的背景を
持つ5人を対象に、カレー粉に含まれる成分の有効性を調べました。

 ちなみにこのポリポーシスは、家族性大腸腺腫症(familial adenomatous
polyposis: FAP)と呼ばれるもので、発生には遺伝性の要素が強く関与するこ
とが知られています。
 そして、もし前がん状態で大腸摘出をしない場合は、ほぼ100%の確率でがん
に発展するといわれるものです。

 なお、今回の研究に参加した人は全員が大腸摘出を受けた人で、残念ながら
手術でも取り残しがあったため、がんの発生の可能性がある人を対象としまし
た。

 今回の研究開始時に、これらの患者さんのポリープの数と大きさを測定して
おき、次に1日3回、クルクミン(curcumin)を480mg、ケルセチン(quercetin)
を20mgづつ、6ヶ月にわたって飲んでもらいました。

 ちなみにクルクミンは、カレー粉の黄色成分であるターメリックの主成分で
抗酸化作用があるといわれているものです。また、ケルセチンはタマネギや緑
茶、赤ワインに含まれるフラボノイドで、人やラットのガン細胞の増殖を抑え
ることが知られています。

 その結果、これらの化合物を摂った人では、ポリープの数が60%に減っており、
またそのサイズも50%にまで減少している事が分かりました。

 今回の研究では2つの成分を同時に摂ってもらっていますが、その中でもク
ルクミンが主な働きをしていると考えられ、摂取量も通常カレーライスなどで
食べる量に比べて大量ですが、カレー粉は安全な食べ物の一つであり、副作用
の心配も無さそうとのことです。

 勿論今回の研究は小規模な研究であり、今後さらに詳細に調べる必要があり
ますが、カレーライスは私の好物メニューの一つでもありますので、非常に期
待される結果です。


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