ナポレオンの死因は、ピロリ菌による胃がん?

● ナポレオンの死因は、ピロリ菌による胃がん


 フランス皇帝ナポレオンは、胃に住みつく細菌のピロリ菌(ヘリコバクター
ピロリ)に感染して胃がんになったのが死因だ、とする研究結果が報告されて
います。

 今までの通説では、ナポレオンは毒殺されたと言われていましたが、科学的
な検証では現代人と同様、ピロリ菌による胃がんである可能性が高いそうです。

 これは、スイス・バーゼル大学病院のSteven B. Karch博士らが、権威ある
科学誌であるネーチャー誌に報告したものです(Nature, Clinical Practice
Gastroenterology & Hepatology, 2007, January issue, available online)。

 それによりますと、ナポレオンの遺体の解剖記録を分析したところ、胃に10
センチ以上の腫瘍があったことなどが新たにわかりました。

 そして、その場所や形状などから、胃がんのリスクを高めるとされるピロリ
菌の感染が示唆されたということです。

 また当時は、戦争の間はその時代の保存手段だった塩漬けの食料などしかと
れず、ピロリ菌による潰瘍が進展して、胃がんにまで至った可能性があるとさ
れています。

 ちなみに、ナポレオンは1821年に、幽閉先の英領セントヘレナ島で死亡しま
した。
 その死因としては、1961年に毛髪から毒物であるヒ素が検出され、陰謀によ
る毒殺であるというのが一般的です。

 しかし、今回の研究者によると幽閉前にとられた毛髪からもヒ素は検出され
ており、また当時はワイン樽をヒ素で消毒したとされており、ヒ素が検出され
たからといって、必ずしも毒殺というのは考えにくいのではないかとしていま
す。

 さて、問題のピロリ菌は、ごく最近発見されたもので、発見者のバリー・マ
ーシャル博士及びロビン・ウォーレン博士が2005年度のノーベル賞を受賞して
います。

 また、ピロリ菌は50歳以上の日本人の約8割が感染しているとされ、放置して
おくと胃がんになるリスクが5〜10倍になるというショッキングな調査結果が報
告されていました。
 特に、我々団塊の世代以前の人は、殆んどがピロリ菌に感染しています。

 除菌療法なども有効とされていますので、気になる方は一度主治医の方と相
談されては如何でしょうか?
 ナポレオンもピロリ菌に感染していたからといって、威張れませんから・・・。


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