カレー粉の成分:アルツハイマー痴呆治療に期待。

● カレー粉の成分:アルツハイマー痴呆治療に期待。


 カレー粉の元になるウコンには、肝臓の働きを高める作用があり、二日酔い
予防ハーブとして有名ですね。
 私は飲み会の前には、必ずコンビニに立ち寄り、ウコン入り飲料を飲んでか
ら、大いに盛り上がるようにしています。

 さてこのカレー粉には、アルツハイマー痴呆にもよい可能性がある事が分か
りました。
 日本人の大好きなカレーに関する話題ですので、取り上げてみました。

 カレーに含まれる化学物質が、免疫システムを活性化し、アルツハイマー
呆に共通して見られるアミロイド斑点を消失させるというものです。

 これは、アルツハイマー病に関する専門誌であるJournal of Alzheimer's
Disease (2006, Oct. issue)に、米国カルフォルニア大学ロスアンジェルス
校医学部のMilan Fiala博士らが報告したものです。

 身体には、免疫システムの一種であるマクロファージと呼ばれる細胞があり
ます。
 この細胞は、体内に入ってきた細菌などの異物を食べて分解する細胞で、身
体の中に溜まった老廃物を除去する作用もあります。

 ところで、アルツハイマー痴呆の患者さんの脳には共通して、アミロイドベ
ータといわれるタンパク質からなる斑点が見られ、アルツハイマー病の原因で
はないかとされています。

 そして、先程のマクロファージには、このアミロイドベータタンパクも分解
する作用が知られています。

 即ち、マクロファージを活性化すれば、アミロイドベータタンパク質が分解
され、アルツハイマー痴呆にならなくなる事が期待されるわけです。

 そこでこの研究者等は、マクロファージを活性化させる物質として、抗酸化
物質が効果があるのではないかと考え、いろいろな抗酸化物質について調べた
そうです。
 そして遂に、カレー粉に含まれるクルクミン(curcumin)にそのような活性
作用がある事を見出したのです。

 研究では、アルツハイマー痴呆の患者さん6名(65歳〜84歳で、いずれも軽度
の初期症状の患者さん)と、健康なボランティア3人から血液を採取し、マクロ
ファージ細胞を分離しました。

 次に、様々な抗酸化物質をマクロファージに加え、培養細胞のアミロイドベー
タタンパク質の量が変動するかどうかを調べました。

 その結果、クルクミンを加えた時には、6名のアルツハイマー痴呆の患者さん
のうちの3名から採取したマクロファージが、アミロイドタンパク質を浄化する
作用が強まっている事がわかりました。

 一方、健康な人からのマクロファージは、元々アミロイドベータを消去する能
力が高いのですが、クルクミンを加えてもその活性は強くなっていなかったそう
です。

 以上の結果から、クルクミンは、アルツハイマー痴呆の少なくとも50%の患者
さんのマクロファージを活性化し、アミロイドタンパク質を消去する作用を強め
る事が明らかになりました。

 クルクミンには以前から、炎症を抑えたり、抗酸化作用を強めたりする効果が
知られていますが、アルツハイマー痴呆の新しい治療方法となる可能性が期待さ
れる訳です。

 今回の結果はまだまだ初歩的なもので、少数例の実験に過ぎないのですが、軽
度のアルツハイマー痴呆の患者さんには有効である可能性があります。


 という訳で、今晩はカレーになさっては如何でしょうか?


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