性フェロモンのセンサーが、ヒトの鼻にも存在する

● 性フェロモンのセンサーが、ヒトの鼻にも存在する


 性フェロモンの存在が最初に確認されたのは、カイコの性フェロモンだそう
です。
 カイコの求愛は、先ずオスがお尻を高く上げて性ホルモンを放出します。
 すると、その性ホルモンに引き寄せられてメスがやってきて、交尾に至りま
す。
 このカイコの交尾は非常に激しく(?)、5時間〜6時間も続きます。また、
その際のオスーメスの結合も強固で、手で引っ張ったくらいでは簡単には外れ
ないほどだそうです。

 カイコといえども中々のものなのですが、その求愛の元となるフェロモンに
ついては、哺乳動物にあるかどうかは明確になっていませんでした。

 よく週刊誌などに、“異性をひきつけるフェロモン配合の・・・”などの宣
伝がありますが、ヒトにフェロモンの分泌器官やセンサーがあるかどうかは明
らかにはなっていないのが現状です。

 ところが今回、性フェロモンを検出する特異的なレセプターが、マウスの鼻
から見つかり、ヒトにもありそうとの報告がありましたので、お知らせ致しま
す。

 これはシアトルにあるハワードヒューズ医学研究所のStephen Liberles博士
らが、世界的に権威のある科学誌ネーチャー誌(Nature, July 30, 2006 online
edition)に報告したものです。

 この研究者らが、マウスの尿の中にある化学成分を感知するセンサーの有無
を調べたところ、鼻の中に3種類のセンサーがある事が分かりました。

 これらのセンサーは、トレースアミン関連受容体(trace amine-associated
receptors (TAARs))と呼ばれるもので、普通よく見られるような、単に匂い
をかぐためのものとは異なるものだということです。

 そのうちの一つはストレス関係物質を感知するものと考えられましたが、後
の2つはオスやメスの尿中に存在する性フェロモンを検出するもので、少なくと
も一つは交尾の際に性欲を高めるためのフェロモンであると考えられるそうです。

 次に見つかったセンサーの遺伝子を調べたところ、同様の遺伝子がヒトにも
あり、面白い事に魚にも存在する事が明らかになりました。

 以上の結果から、性フェロモンは広く生物に共通しているもので、ヒトの鼻
にも性フェロモンの受容器があるのではないかと述べられています。

 媚薬は古来からの夢の惚れ薬ですが、このような性フェロモンが媚薬として
世の中に出てくる日も近いのでしょうか? 気になります・・・。


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