キャベツなどの野菜に肺がん予防効果

● キャベツなどの野菜に肺がん予防効果

 キャベツなどのアブラナ科の野菜を少なくとも週1回摂取すると、肺がんの
予防になりうるそうです。ある遺伝子配列の人に限るのだそうですが、癌の予
防になるとして注目を集めています。

 これは、フランス・リヨンのがん研究国際機関のPaul Brennan氏らが、権威
ある英医学誌ランセットに報告したものです(Lancet, Aug.10, 2005)。

 これまでにも、キャベツやブロッコリー芽キャベツなどアブラナ科の野菜
に肺がんの予防効果があるとする報告がありましたが、いずれも決定的な結果
と言えるものではありませんでした。

 また、アブラナ科には、肺がんに対して化学予防効果が認められるイソチオ
シアネート(硫黄化合物の一種)が豊富に含まれることがわかっています。

 ところがこのイソチオシアネートは、GSTM1およびGSTT1と呼ばれる遺伝子に
よって作られるグルタチオン-S-トランスフェラーゼという酵素により容易に
分解されてしまいます。

 一方、これらの遺伝子は人によって異なり、変異があり不活性な人ではイソ
チオシアネートが壊れにくくなっているために、結果的に肺がんの予防効果が
高まる事が期待できます。

 そこで、今回の研究では、チェコハンガリーポーランドスロバキア
ルーマニアおよびロシアの肺がん患者2,141人と健常者2,168について、GSTM1
/GSTT1遺伝子の変異の有無を調べました。
 ちなみにこの国々では、アブラナ科の野菜をよく食べる事が知られています。

 その結果、不活性型GSTM1遺伝子を保有し、アブラナ科の野菜を摂取している
人は、肺がん発症の割合が33%低い事が明らかになりました。

 また、不活性型GSTT1遺伝子を保有する人も同様に37%低く、両方の遺伝子い
ずれもが不活性型であると癌のリスクは72%低くなっていました。

 一方、両遺伝子が活性タイプの人では、予防効果は認められなかったそうで
す。

 この結果から、アブラナ科野菜の肺がんに対する特異的な予防効果が認めら
れ、また肺がんに対する遺伝子的な感受性の差があるとしています。

 人の遺伝子構造と薬の効き方が最近話題になっています。
 人の遺伝子構造を調べてその人に合った薬を投与するという、オーダーメイ
ドメディシンという考えですが、野菜を食べる際にも、自分の遺伝子に合った
野菜が体に良いという事のようですね。


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