緑茶と“アジアン・パラドックス”
●緑茶と“アジアン・パラドックス”
アジア諸国では、多くの人が喫煙するにもかかわらず、心疾患やがんの発生
率が低いことが知られており、“アジアン・パラドックス”と呼ばれています。
”フレンチ・パラドックス”は、フランス人が脂肪の多い美食をするにも拘ら
ず心疾患が少なく、このパラドックス(矛盾点)は、赤ワインを飲むためであ
り、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用のおかげであるといわれ
ています。
それと同様に、“アジアン・パラドックス”は、お茶、特に緑茶を多く飲む
ことと関係があるのではないかという説が、エール大学の医学者から発表され
ました。
これは、エール大学医学部外科のBauer Sumpio教授が、全米外科学誌(Journal
of the American College of Surgeons 202: 813-825, May 2006))に報告
したものです。
教授によると、アジアン・パラドックス全てを説明できないかもしれません
が、アジア諸国に於ける心疾患とがんの発生率が低いことを説明できる、とい
うことです。
今回の総説は、今までに緑茶に関する100以上の医学研究論文を見直した
ものです。
アジア諸国では一人あたり平均一日1.2リットルの緑茶が飲まれていますが、
そこには抗酸化物質としてよく知られているポリフェノールの一種であるエピ
ガロカテキンガレート(EGCG)が含まれている事が知られています。
以下、この論文で再確認できた効果について述べますと、
1)EGCGは、心疾患の原因物質である悪玉コレステロールであるLDL
の酸化を防ぐ。
2)EGCGが血小板の凝集を防ぎ、血液中の脂肪分を調節したり、平滑筋
細胞の分化や流動性を高めて、心疾患の原因因子を減少させるのにも有効。
3)EGCGは、がんの増殖も抑制する。
4)消化器系の機能をも高め、アルコールの代謝や、腎臓や肝臓或いは膵臓の
機能、更に皮膚や目の防御効果や疲労感を解消するのにも有効。
5)お茶には、アレルギーや糖尿病、細菌やウイルス感染、虫歯予防、炎症の
軽減、更に精神安定化効果が期待される。
以上の如く、緑茶には様々な効果がある事が確認できたとされています。
しかし、喫煙者は、先ず最初に喫煙をやめることが第一、と強調されていま
すので、念のため・・・。
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