緑茶カテキンが、イレッサのがん治療効果を増強

● 緑茶カテキンが、イレッサのがん治療効果を増強

 イレッサとは、アストラゼネカ社が製造販売している肺癌用の抗ガン剤です。
一般名はゲフィチニブ(Gefitinib)で、腫瘍細胞のチロシンキナーゼを選択
的に阻害することで増殖能を低下させるとされています。
 しかし、この薬は間質肺炎などの重大な副作用を起こす事、また海外ではあ
まり効果が認められないなどの報告があり、いろいろと問題となっている薬剤
です。
 その一方で、人によってはこの薬は非常に良く効くことから、効く人と効か
ない人をうまく分ける方法があれば、非常に有効な薬になるとよく話題にもな
っています。

 ところが今回、緑茶カテキン成分のEGCg(エピガロカテキンガレート)が、
イレッサの効果を増強するという話題をお送りします。

 これは徳島文理大学薬学部藤木博太教授らが、第22回和漢医薬学会大会で
発表したものです。

 イレッサは、外国人に比べて日本人ではよく効く事が知られています。
 教授らは、お茶などの日本人の食習慣が関連があるのではと考え、お茶に含
まれるカテキン成分について、がん細胞の増殖に対する効果を調べました。

 培養した癌細胞に、イレッサ単独、あるいはEGCgとイレッサを同時に投与し
た場合の効果を調べたところ、EGCg存在下ではイレッサの効き目が増強され
る事が明らかになりました。

 以上の結果は培養癌細胞を用いた結果ですが、実際に人が緑茶の飲んだ場合
も同様にイレッサのがん治療効果を増強することが期待されることから、イレ
ッサの投与量を減らし、副作用の軽減が可能ではないかとしています。

 またこの研究とは別に、EGCgが非ステロイド系抗炎症剤である「スリンダッ
ク」のがん予防効果を増強するという報告もあるようです。

 ご存知のように、EGCgは緑茶のポリフェノール成分であるカテキンのうちで
も、生理活性が最も強く、様々な抗酸化作用などの効果も知られていますが、
今後に楽しみな結果ですね。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 今日の話題は如何でしたか?

 ・既刊号は、ホームページ「http://www.drhase.info」をご覧下さい。

 ・メールマガジンをお届けしています。ご希望の方は、上記ホームページよ
  り登録なさってください。