胃がんを取るか、花粉症にするか?

胃がんを取るか、花粉症にするか?

 いよいよ花粉症のシーズンです。今年は昨年に比べて花粉の飛散量は少ない
ようですが、でもやはり花粉症の人には憂鬱な季節です。 

 胃がんの原因となるピロリ菌を発見した研究者が、ノーベル賞を受賞しまし
たが、このピロリ菌を持っている人は、花粉症に罹りにくいという事です。
 私もピロリ菌を持っている一人ですが、喜んでよいのか、複雑な気持ちです
・・・。
 今日はその話題をお送りします。

 アレルギーは衛生状態が良くなり、子ども時代に感染症にかかることが少な
くなったためといわれていますが、この仮説だと昭和期の衛生状態が悪かった
頃に子供時代を過ごした人では、アレルギーになりにくい事になります。

 ところで第二次大戦後に生まれた人は、H.ピロリ感染に感染している人が多
く、私の年代では50%以上といわれています。勿論私もその一人です。

 そこで、奈良病院消化器科の今村重義氏らはピロリ菌の感染とアレルギー疾
患の関係を調べました。
 まず、25歳から45歳までの健常者95人を対象に、花粉飛散時期に鼻炎や結膜
炎など花粉症の症状があるかどうかをしらべ、同時に尿中の抗H. ピロリ抗体
を測定して、ピロリ菌に感染した事があるかどうかをしらべました。

 その結果、H. ピロリ抗体が陽性だったのは26人(27%)で、このうち花粉
症の症状がある人は4人(15%)だったそうです。
 一方、H. ピロリ抗体陰性の人で、花粉症の症状のある人は36人(52%)も
いることがわかりました。

 次に、花粉の飛散時期に、193人の血液から抗H.ピロリIgG抗体とスギ花粉
IgE抗体を測定しました。
 その結果、90人(47%)の人がH.ピロリ抗体が陽性で、このうちスギ花粉
IgE抗体があったのは34%で、一方H.ピロリ抗体が陰性の人では、スギ花粉IgE
抗体があったのは66%と高かいことがわかりました。

 このことからH. ピロリ感染者は、非感染者より花粉症症状を有する割合が
低く、H. ピロリ感染が花粉症発症に対して抑制的に働いていることが示唆さ
れると、研究者等は述べています。

 非常に興味深い研究結果ですが、ピロリ菌をとるか、花粉症を取るか、難し
い問題ですよね。

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