5千万人が死亡したスペイン風邪と、トリインフルエンザウイルスが酷

●5千万人が死亡したスペイン風邪と、トリインフルエンザウイルスが酷似!

 ご存知のように「スペイン風邪」は1918年(大正7年)に世界で大流行し、
実に5,000万人の人が亡くなったとされる、史上最悪のインフルエンザです。

 ところが今回、この数年東南アジアを中心として流行している鳥インフル
ンザ(H5N1型)ウイルスが、スペイン風邪と非常によく似た遺伝子からな
っているという恐ろしいニュースです。

 これは、米国の複数の研究機関の研究で明らかになったもので、共に権威の
ある科学雑誌である英科学誌「ネイチャー」、及び米科学誌「サイエンス」に
論文が掲載されていますので、お知らせします。

1) 米軍病理研究所のグループは、大流行時に死亡した患者の肺の標本など
からスペイン風邪ウイルスの遺伝子を取り出し、塩基配列を解読しました。
 そして、今まで知られていたインフルエンザウイルスの配列と比較したとこ
ろ、ヒトのインフルエンザよりも、現在東南アジアで流行中の鳥インフルエン
ザによく似ている事が分かりました。
 鳥インフルエンザは元来、人への感染力が低く、ブタの体内で変異を繰り返
すうちに人に感染する新型のウイルスとなるとされていました。
 ところが今回の結果から、スペイン風邪ウイルスや、H5N1タイプの鳥イ
ンフルエンザウイルスでは、ブタを介さなくても直接、人に強い感染力を持つ
可能性があるという事です。(以上:Taubenberger, J.K. Nature, Oct. 6, 2005; vol 437: pp 889-893.から)

2) 米疾病管理センターのグループは、スペイン風邪ウイルスの遺伝子を人工
的につなぎ合わせて、スペイン風邪ウイルスを再生しました。そしてこのこのウ
イルスの感染力をニワトリ胚やマウスを使って調べたところ、鳥インフルエンザ
と同様に致死性な感染力を持つことが分かりました。さらに、ヒト気管支上皮細
胞細胞に対しても増殖力が強まっている事が分かったそうです。
 この結果から、この遺伝子がスペイン風邪が強力な病原性を持った原因ではな
いかとしています。 (Tumpey, T.M. Science, Oct. 7, 2005; vol 310: pp 77-80)


 インフルエンザの季節がまた近づいてきましたので、心配なニュースです。

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