米国医師の殆んどが、自分の保身を第一にしている

●米国医師の殆んどが、自分の保身を第一にしている

 保身的医療(Defensive Medicine)とは、医療過誤の賠償責任を負う危険を
減らすために行われる検査や診療のことで、米国のように訴訟の多い国では、
医師が訴訟を恐れて、適切な検査や処置をおこなわなかったり、診療を回避す
ることが問題となっています。

 米国ペンシルベニア州で実施されたアンケート調査によると、医師の90%
以上が何らかの自身に対する防衛的医療行為を行っていたという、気になるニ
ュースです。

 これは、ハーバード大学公衆衛生学部のDavid M. Studdert氏らが、医学誌
Journal of American Medical Association(JAMA)誌(2005, June, 1;
論文タイトル:Defensive Medicine Among High-Risk Specialist Physicians
in a Volatile Malpractice Environment)に報告したものです。

 824人の医師にアンケートを実施したところ、医師の93%が何らかの防
衛的医療行為を行っていたそうです。
 その中で最も多かったのは、検査の発注、専門医の紹介などの「保証行為」
と呼ばれるもので、全体の92%の医師が適切におこなわなかなかったという
ことです。

 それ以外の防衛的医療としては、臨床的に必要でなくても画像技術を利用し
ている医師が43%で、訴訟の可能性が高いと思われる患者さんに対する治療
の回避も横行していたそうです。

 さらに、42%の医師が、過去3年間に外傷外科といった合併症を招きやす
い治療をやめるなど、治療範囲を制限してきたと答えていました。

 特にこのような傾向は、医療過誤保険の適用範囲に不安を抱いている医師や、
保険料負担を懸念する医師に高かったそうです。

 勿論、過剰な検査などは医療コスト増という問題を引き起こすのですが、患
者さんの治療を制限することは、患者の生命にかかわる大問題であり、本来の
医療から遠くかけ離れているものです。

 このような傾向が、日本に広がらない事を祈るばかりです。

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