ビタミンCを多く摂っても、運動成績は上がらない

● ビタミンCを多く摂っても、運動成績は上がらない

 ビタミンC(アスコルビン酸)は、運動後の疲労回復に役立ち、スポーツや山
登の際にはレモンをかじると良いなどと言われてきました。
 ところが今回、残念ながら今まで考えられていた程には、運動成績の向上に
は役立たないようです。

 これは、応用生理学誌(Journal of Applied Physiology, on line, 2005, Jan.)
に、コロラド州ボーダーにあるコロラド大学統合生理学部のChristopher Bell
氏らが報告したものです(論文タイトル:Ascorbic acid does not affect the
age-associated reduction in maximal cardiac output and oxygen consumption
in healthy adults)。

 過去の研究で血流循環をよくする薬物が運動能力を上げる事がわかっており、
同様の効果をもつビタミンCが運動で生じた酸化ストレスを減らし、心臓の働き
を良くするために運動にも有効であろうと考えられていました。
 そこでこの研究者らも、アスコルビン酸が最大有酸素運動能力(maximal aerobic
capacity , MAC)と最大心臓血液排出量(maximal cardiac output, MCO)を
高めるので、長期間アスコルビン酸サプリメントを摂取すると運動能力が高まる
と想定し、その証明を試みたのだそうです。

 MACやMCOは年齢と共に低下する事がわかっていますので、実験では23歳の青
年、及び61歳の高齢者に1日500mgのビタミンCを摂ってもらいました。
 次いで、歩行器での運動をおこなった際に、運動能力に向上が見られるかど
うかを調べました。

 その結果、予想に反し毎日アスコルビン酸サプリメントを摂っても、短期間
或いは長期間(30日間)に於けるMACやMCOが改善していない事がわかりました。

 この結果から、ランニング等の運動をした場合には、ビタミンCは体内に溜ま
った過酸化ストレス物質を減らしますが、運動成績自体を上げることは期待で
きないのでは、ということです。

 しかし、ビタミンCは身体にとって重要な成分である事は間違いありません。
目先の運動成績などのためではなく、健康保持という点では大切ですので誤解
されませんよう。

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 「問題・障害はあなたの宝だ。
  障害から学び、障害によって成長せよ。」   【Mark Victor Hansen】

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