盛んになってきた代替医療にも、科学的な評価が必要

● 盛んになってきた代替医療にも、科学的な評価が必要

 この数年米国でも、サプリメントをはじめとして漢方薬鍼灸などの東洋医
学、或いはホメオパシーなどの従来の西洋医学とは異なる、いわゆる代替医療
が盛んになってきました。
 この傾向は日本でも変わらず、高齢化社会の訪れと共に、益々盛んになると
考えられています。

 先日米国政府機関が発表した米国成人3万1,000人に対する調査結果では、米
国人の35%が何らかの代替医療を受けたことがあるという事です。
 例えば、ハーブサプリメントは1997年では12%の人が使用していたに過ぎなか
ったのですが、2002年には18.6%と50%も増加し、約3,800万人が使用している
そうです。また、全人口の約5%の1,000万人がヨーガを実践しているとのことで
す。
 このような代替医療の広がりは、セルフケアの観点から見ると非常に素晴ら
しい事なのですが、代替医療の中には科学的に見るとおかしいものもあります。
 特に近年の医学は、"証拠に則った医療(Evidence Based Medicine, EBM)"
が重要視されており、本当に有効な医療を行う必要が叫ばれていますので、な
おさらです。

 それに従って、代替医療といえども科学的に実証されなければならないとい
う考えが広まってきています。
 実際、全米医学協会をはじめとして多くの機関が、代替医療に対して有効性
と安全性を評価するための標準化が必要であると述べていますので、ご紹介い
たします。

 ロイター通信(2005年1月13日)に、代替・統合医療の指導者であるハーバー
ド大学医学部のDavid Eisenberg博士らは、政府関係者が、業界・研究者・消
費者などに対して、各治療法の有効性を明らかにするよう働きかけるべきであ
るとの論評をされています。

 また、医療従事者及び患者は代替医療の安全性と有効性について充分な情報
をもっていなければならないと、ジョージタウン大学医学部部長Stuart Bondurant
博士もコメントしています。
 特に同一の原理と標準を定め、代替医療を評価すべきで、そのためには実際
に有効で安全であるというエビデンスが鍵となるとしています。

 国内でも漢方薬の再評価が始まっていますが、このような科学的見地からの
代替医療の見直しの時期がきているように感じます。
 しかし、西洋医学的な評価法がそのまま東洋医学や他の代替医療に使えるか
といった問題点も多くありますので、政府、大学、企業が充分論議した上で、
評価基準を作っていただきたいと願っています。
 国内でも、「日本代替・相補・伝統医療連絡会議」や「統合医療学会」或い
は「日本補完代替医療学会」が設立されておりますので、その活躍が期待され
ます。

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 「私はいかなる失敗も、
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