市販の妊娠検査薬: 妊娠早期には検出できない
●市販の妊娠検査薬: 妊娠早期には検出できない
月経がなくなると先ず薬局に行き、妊娠検査薬を買ってきて、自分で調べる
人がほとんどだと思います。我が家の子供達ができた時も、病院の検査を受け
る前に、最初に市販の検査薬で知ったものでした。
妊娠検査薬の説明書には、“月経がなくなった後でも、すぐに妊娠している
かどうかがわかります”などと書かれているので、安心している方が多いかも
しれません。
しかし実際は、市販の検査薬では、月経がなくなった最初の2、3日以内では
検出できない事がわかったということです。
この研究は、アメリカ産婦人科医学会誌(American Journal of Obstetrics
and Gynecology)に、ニューメキシコ大学のLawrence Cole博士らが報告した
ものです。
家庭用妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛膜性腺刺激ホルモン(human chorionic
gonadotropin = hCG)のレベルを測定するものです。
妊娠すると、受精卵から生じる胎盤の絨毛組織から、hCGが分泌されます。
このホルモンはすぐに尿中に排泄されますので、尿中hCGを検出することは
妊娠したことの有力な情報となるわけです。
今回この研究者らは、25名の妊婦について、月経が見られなくなった最初の
日のhCG量を測定し、同時に家庭用検査薬が正確にそのhCG量を検出できるか
を調べました。
その結果、市販されている18種の妊娠検査薬キットのうち、最初の日にも検
出できたのは、”the First Response test ”といわれるものだけで、95%の
確率で検出できたということです。
また、”Clearblue Easy” といわれる検査薬では、80%の確率で検出できた
そうですが、それ以外の16種では、検出率は16%以下だったそうです。
2日目になっても、18種のうち3種の検査薬しか検出できず、3日目にようやく
8種の検査薬が検出できるようになったと報告しています。
この研究者によると、殆どの検査薬が最初の日に検出できなかったのは、最
初はhCGが修飾した構造をとっているためで、hCGの構造が変化して行くにつ
れて、検出率が向上していくと説明されています。
ちなみに、殆どの検査薬メーカーは“検出率は99%”と主張していますが、
どうもそれをそのまま信用できないようです。
そしてこの研究者は、より信頼できる結果を得るには、月経がなくなってから
少なくとも1週間後まで待つべき、と述べています。
国内には現在10種類近くの製品が発売されていますが、それらの性能を比較
した今回のような研究が行われ、そのデータを発表して欲しいと思います。
妊娠したかどうかはすぐに知りたいことです。その結果に一喜一憂した覚え
がありますので、検査薬の性能の向上が望まれますね。
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「過ちを改むるに、はばかることなかれ」 (孔子)
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