「頭はヒト、体はマウス」の生物

● 「頭はヒト、体はマウス」の生物

 「顔がヒトで体が蛇は、龍」、「顔がヒトで体がライオンは、スフィンクス」。
これらはいずれも想像上の生き物ですが、「頭はヒト、体はマウス」、「体は
ラット、腎臓がヒト」の生き物が、実際に細胞生物学で作られつつあるという
話題です。

(1) ヒトの腎臓をもつラット
 これは慈恵医大の横尾隆氏らが、米科学アカデミー紀要(Proceeding of the
National Academy of Science, 2005, March 1, on line edition)に報告
したものです。
 人の骨髄から採取した幹細胞をラットの胎児に組み込み、人と同じ遺伝的特
徴を持った腎臓をつくることに成功しました。
 このヒトの腎臓を別のラットの腹部に戻して発育させたところ、実際に尿が
作られることも確認できたそうです。
 今までも細胞培養でヒトの皮膚や軟骨などが作られてはいますが、今回のよ
うに別の動物を利用して臓器を再生した例は殆んどないそうです。同様の方法
膵臓や肝臓などもつくれるとのことで、再生医療に役立つとされています。

(2)ヒトの脳をもつマウス
 こちらの方はまだ計画段階で、ヒトの脳細胞を持ったマウスを作成すること
を、スタンフォード大学の倫理委員会が許可したというものです。
 研究は頭の良いマウスを作るのが目的ではなく、ヒトの脳を持ったマウスを
つくり、脳腫瘍、脳卒中統合失調症アルツハイマー病、あるいはルーゲー
リック病などの中枢性疾患について調べるのに用いるとしています。
 但し倫理委員会は、もしヒトの脳細胞を移植したマウスにヒトと同様の組織
が作られ、記憶や問題解決能力が改善したり、或いはヒトのような振る舞いが
認められたら即時に実験は中止するべきだとコメントしています。

 確かにこのようなマウスやラットが出来ると、医学の発展に貢献する事はよ
く理解できるのですが、手放しでは喜べない気がします。

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