ダイエットでパーキンソン病が防げる

●ダイエットでパーキンソン病が防げる

 パーキンソン病は、脳が出す運動の指令がうまく伝わらず、スムーズに体が
動かなくなる病気です。人口10万人につき80〜100人くらいの頻度で発症する
もので、決して珍しい病気ではありません。発症するのは50〜60歳代が多いの
ですが、20歳代〜80歳近くまで幅広い年齢で、男女差なく発症します。

 さて、このパーキンソン病が、低カロリーダイエットで抑えられるる事がわ
かったという話題です。
 米国老化研究所(the US National Institute on Ageing)の研究グループ
が、米国科学アカデミー会誌(Proceedings of the National Academy of
Sciences, 2004, Dec. 14)に報告したものです。

 以前から、パ-キンソン病が、脳の黒質緻密層(Substantia nigra)の神経伝
達物質ドパミンを生産する脳細胞が減少すること関係がすることがわかってい
ました。パーキンソン病ではこの細胞の死滅スピードが速く、そのため運動に
関する神経系がダメージを受けると考えられていた訳です。
 また別の観点からですが、カロリー制限をすると老化速度が遅くなり、運動
能力や記憶力の低下が防げる事もよく知られていました。

 そこで研究者らは、カロリー制限をするとパーキンソン病の原因となる脳細
胞の消失スピードも減少するのではないかと考え、長期間カロリーダイエット
をした場合、パーキンソン病の発症が抑えらられるかどうかを調べました。

 実験では、サルにパーキンソン病様の症状を起こす毒素を注射しておき、6ヶ
月にわたって通常食から30%カロリーの低い食事制限を施したそうです。

 その結果、カロリー制限した場合には運動性が改善しており、同時に脳内の
ドパミン量も高く維持されている事がわかりました。この時には、脳細胞の神
経増殖因子(Nerve growth factor, GDNF)のレベルも高くなっていたそうで
す。
 これらの結果から、長期間のカロリー制限食は神経増殖因子の生産が活発に
させ、パーキンソン病の進展を抑えるものと考えられています。

 今のところ、実際にヒトでも、低カロリーダイエットがパーキンソン病の発
症を抑える事が出来るのか、また既にパーキンソン病を発症した後でも効果が
あるかは分かりません。 しかし、あまり過激なカロリーダイエットでなけれ
ば、比較的容易に出来ますので、かなり期待のもてるものに思えます。更なる
研究に期待します。

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