ヒトの母乳を飲むと、癌の治療に有効?
●ヒトの母乳を飲むと、癌の治療に有効?
母乳には抗体などの成分が大量に含まれており、それを飲んだ乳児は病気に
かかりにくい事はよく知られています。また最近では、母乳の成分であるラク
トアルブミンは、C型肝炎などの感染症の治療に有効であることも報告されて
います。
そこで今回は、米国の癌患者さんが、癌の治療のために母乳を飲み続けてい
るというニュースです。
この人は前立腺がんを患っているHoward Cohen氏(59歳)で、過去4年間に
わたって母乳を飲み続けているそうです。
Cohen氏自身は、理論物理学博士号を持っている方なのだそうですが、彼は
1999年に癌を告知されて以来様々な研究論文を調べました。
その結果、母乳の成分が癌細胞を破壊するという論文がある事を知りました。
スェーデンLund大学の研究チームが、母乳に含まれるαラクトアルブミン-オ
レイン酸成分が、脳の腫瘍細胞を死滅させる事を試験管内の実験で見出したと
いうものです。
また、この化合物が子宮頚癌ウイルス(HPV)により発生したイボ状組織の治
療に有効であることも報告されていたそうです。
更に、母乳を飲んだ子供は、母乳以外で育った子供よりも癌になる頻度が低く、
アレルギーやウイルス感染などにも罹りにくい事も報告されていたとのことです。
そこでCohen氏は、手術や放射線治療或いはホルモン療法などの代わりに、
より副作用の少ない方法として母乳を飲む事にしました。
当初は8ヶ月の乳児をもつ母親から母乳を提供してもらっていたのですが、母
乳が出なくなってからはカルフォルニアにある母乳銀行(The California's
Mothers' Milk Bank)に登録し、医師の処方を受けて週2ビンを飲み続けてい
ます。
母乳そのものの味はやや油成分が強く、決して美味しいものではなく、果物
の果汁やヨーグルトと混ぜて飲んでいるということですが、以来癌の進展が抑
えられているということです。
しかし癌専門医によると、母乳は癌に有効であるという証明はなく、この治
療法には懐疑的であるとしています。また、母乳をつくる母親が飲んだ薬やウ
イルスが母乳に混ざっている危険性もあり、飲んだ人が感染する可能性も指摘
されています。
過去4年間にカルフォルニア母乳銀行から、医師の処方として28人に供給した
実績があるということですが、たとえ効果があったとしても、母乳の供給は限
られており、やはり乳幼児に使うべきであるとの批判もあるようです。
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