● 関節炎に、グルコサミンは本当に効く?


 中高年のやや太り気味の人に多い病気が、変形性ひざ関節症です。歩き始め
るとひざに痛みが走って歩けなくなる病気で、グルコサミンやコンドロイチン
などのサプリメントがよいといわれてます。

 ところが、先日カナダの研究者からその有効性は疑問であるとの報告が出さ
れ、この人気のサプリメントに対する議論が沸騰しています。

 問題のグルコサミンが無効だとする報告は、バンクーバーにあるカナダ関節
炎センターのJolanda Cibere博士らがおこなったもので、リウマチ学会誌(the
journal Arthritis & Rheumatism Oct. 15, 2004)に報告されたものです。

 調査は膝関節炎の患者さん137名が参加したもので、半数の人に一日1,500mg
のグルコサミンを約2年間摂ってもらい、その後6ヶ月間の追跡調査をして、プ
ラセボ偽薬を飲んだ人と比較してその効果を調べました。

 その結果、関節炎の再燃率は、グルコサミン服用者とプラセボ服用者との間
に差異はありませんでした。
 また、グルコサミンを摂った人は、痛みが軽くなったり炎症が軽くなったり
もしておらず、炎症反応はプラセボ群では42%が、グルコサミン群では45%と差
が見られず、依然続いていたということです。

 この研究者等によると、最近の他の研究でも効果は明らかでなく、患者さん
はたとえ初期に効果があったとしても、長期服用で本当に効果が得られると考
えないほうがよいと述べています。

 一方、このカナダの研究結果に疑問を持つ専門家も多く、サンフランシスコ
のストーン・スポーツ医学及び関節炎研究所のKevin Stone博士は、この報告
は小規模な調査で欠陥が多く、中でも多くの患者さんがグルコサミンを途中で
止めた結果も含んでいるので、信頼できる内容ではないと反論しています。

 Stone博士によると、グルコサミンは関節炎の人すべてに推薦すべきもので、
特にNSAIDと呼ばれる非ステロイド性の抗炎症薬を使用している人は、NSAID
止めてグルコサミンに置き換えるべきであるとしています。

 このように今のところこのようにグルコサミンに対する効果については、賛
否両論があるようですが、現在米国政府機関(the U.S. National Center for
Complementary and Alternative Medicine , NCCAM)が1,500以上の研究デ
ータを解析した大規模調査を行っている最中ですので、その結果が出るとグル
コサミンの効果が明らかになります。
 また、NCCAMはこれ以外にも、独自にグルコサミンとコンドロイチンの関節炎
に関する効果に関する研究も始めるということですので、当面はこれらの研究
結果を待ちですね。

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