癌の診断:イヌがオシッコの匂いを嗅げば分かる

● 癌の診断:イヌがオシッコの匂いを嗅げば分かる


 癌の遺伝子診断は、私の研究テーマのひとつです。細胞からDNAを取って、癌
特有の遺伝子があるかどうかを調べるものなのですが、世界中で大勢の優秀な
研究者がしのぎを削っている分野です。

 ところが今回、犬が人の尿の匂いをかぐだけで、癌患者かどうかを見分ける
事が出来たという、我々研究者にとってショックな報告です。

 この報告は、英国アマシャム病院のCarolyn Willis博士らが、英医学誌ブリ
ティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal, Sep.23, 2004)
に報告したものです。

 以前にも、飼犬が主人の皮膚の病変部に異常な関心を示したことをきっかけ
に、皮膚癌が見つかった、という報告がLancet誌に掲載されたことがありました。
 また、癌患者の汗や呼気には、癌細胞由来の物質が含まれており、犬には癌患
者をかぎ分ける能力があるのではないかとされていました。

 そこでこの研究者らは、癌細胞が分泌した物質は尿に出てくるのではないかと
予想し、犬を訓練すればその尿の匂いをかぐだけで、膀胱癌患者をかぎ分けられ
るようになるかもしれないと考えたのだそうです。

 訓練は、コッカースパニエルやラブラドルレトリバーなどの普通の犬6頭を、
7カ月にわたって行いました。36人の癌患者と、対照群となる他の病気の患者ま
たは健康な人108人の尿の匂いをかぎ、患者の尿の横で腹這いになるよう訓練し
ました。
 そして7つの尿サンプルの中から、癌患者のものを識別するテストを行ったと
ころ、41%の確率で検出に成功したそうです。
 特にコッカースパニエルの成績は優秀で、56%の成功率でした。
 また、健康な人のものとして提供された尿をかいだイヌの全てが、がん患者の
ものと判断したしたものでは、更に提供者の精密検査を行ったところ、右の腎臓
に悪性腫瘍が見つかったケースもあったそうです。

 一方、全頭が検出に失敗した尿もあり、病気の進行具合や患者により、判定率
が異なるようです。
また、尿を乾燥した後では検出率は22%と落ちており、癌細胞由来の物質は揮発
性と考えられています。

 筆者らによると、この研究の目的はイヌの能力の臨床的有用性の評価ではなく、
あくまでも、イヌが尿の臭いで膀胱癌患者をかぎ分けられるかどうかを調べるこ
とだそうですが、癌の早期診断は現代医学の重要なテーマですので、今後の研究
に興味がもてます。

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