CLA(共役リノール酸):魔法の痩せ薬?

●CLA(共役リノール酸):魔法の痩せ薬?


 ヒマワリの種や牛肉などに含まれているCLA(Conjugated linoleic acid、
共役リノール酸)は、体脂肪を落とさせ、筋肉を増強する魔法のサプリメント
ある、との研究結果が報告されました。
 
 この報告は、Scandinavian臨床研究所のGaullier, J博士らが、米国栄養医
学誌(American Journal of Clinical Nutrition, June, 2004)に報告した
ものです。
(論文タイトル:Conjugated linoleic acid supplementation reduces body
fat mass in healthy overweight humans)

 CLAは、リノール酸が異性化した構造を持つ脂肪酸で、リノール酸の2重結
合の位置がずれて相互作用できる(共役結合)構造に変化したものです。
 今までの研究で、CLAには発ガンを抑える作用や、その他様々な効果がある
ことが報告されていました。
 そこで今回、体脂肪に対する効果を調べたそうです。

 試験には、体格指数(BMI)が25〜30の太り気味の男女180人が参加(18〜
65歳、平均体重約80kg)が参加しました。
 
 この参加者を3グループに分け、(1)遊離脂肪酸型のCLA、(2)脂肪酸
エステル(トリアシルグリセロール)型のCLA、(3)プラセボ偽薬としてオ
リーブ油の入ったカプセルを、1年間飲んでもらいました。
 その後体脂肪の量を、X線2重エネルギー吸収法で測定しました。
 
 その結果、遊離脂肪酸型のCLAをとったグループでは、体脂肪が平均1.7kg
減少、脂肪酸エステル型のCLAでは2.4kg減少していました。
 一方、コントロールのオリーブ油をとったグループは、逆に0.2kg体脂肪が
増加していたそうです
 また、筋肉など脂肪以外の部分は、遊離脂肪酸型CLAグループで0.7kg、脂
肪酸エステル型CLAグループで0.6kg増加しましたが、オリーブ油グループで
は変化がなかったとのことです。
 更に、1年間の試験中にリバウンドは見られず、「CLAの摂取で、長期間に
わたり体脂肪を減らす効果が確認できた」と結論付けられています。

 しかし、今回の調査には、CLAを用いたやせ方が健康的なものかどうかを調
べてはいませんので、気になるところです。
 血中の成分の変化を分析したところ、悪玉コレステロールの量などには、
3グループでほとんど違いがなかったのに対し、体の「防衛システム」を抑
える「リポたんぱくa」が、CLAをとった2グループで増えていたとされていま
す。また、白血球や血小板の数も増えていたようです。

 リポ蛋白aが増えると、心筋梗塞などを起こしやすくなるといわれています。
 また、白血球や血小板も、血液凝固をおこしやすくするので、CLAを摂りす
ぎると、身体に何らかの悪影響を与える可能性も否定できません。

 従って確かに痩せ薬としては有効そうですが、健康障害をおこす可能性もあ
り、安易な使用は避けた方が賢明ではないでしょうか。
 

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