卵を食べると、早死にする?: 相反する2つの報告
●卵を食べると、早死にする?: 相反する2つの報告
“卵をよく食べる女性は早死にする危険性が高い”との研究が報告されまし
た。
その一方で、“卵を食べても、心臓疾患の危険率を高めるコレステロール値
には影響しない”と相反する結果も発表されており、物議をかもし出していま
す。 そこで今日は、その話題をお送りします。
(1) 卵は危険!
最近の研究結果によると、卵を良く食べる女性は早死にする傾向があるとの
ことです。
これは滋賀医大のYasuyuki Nakamura博士らが、米国医学栄養学誌(American
Journal of Clinical Nutrition誌、vol 80: pp 58-63)に報告したもので
す。
研究は、9,000人以上の日本人男女について、1980年から1994年までの卵の
消費量、コレステロール値、そして死亡率をまとめたものです。
その結果、毎日卵を食べる女性は、週に1〜2個しか食べない女性に比べて、
死亡率が高かったそうです。
一方、男性の場合は、頻繁に卵を食べてもコレステロール値には問題が無く、
早死にする危険率も高くなっていませんでした。
その理由として、男性では、女性に比べてさまざまな食品からコレステロー
ルを摂っていることと関係があるのでないか、ということです。
今回の研究では、トータルカロリーやコレステロール摂取量、飽和あるいは
不飽和脂肪などについては解析していないのですが、あまりに高い頻度で卵を
食べない方がよさそうです。
ところがその一方で、これとはまったく反対の論文も発表されています。
(2)卵食は心疾患の危険率を高めない。卵を食べても疾患に関係するコレス
テロール値には影響しない。
この論文では、卵を食べた結果、LDLコレステロール値が上がっても、心臓
疾患の危険率自体が上がるわけではないと述べられています。
この報告は、コネチカット大学のMaria Luz Fernandez博士らが、代謝7月
号(Metabolism, June 2004; vol 53: pp 823-830.)発表したものです。
LDLコレステロールにはいくつかの種類があるのですが、毎日3個の卵を食べ
ると、そのうちの粒子サイズの大きなLDL-1及びLDL-2の値は増加しますが、
心疾患の危険因子である小粒子のLDL-3からLDL-7までの値を上げるわけではな
いというものです。
研究では50名の男女について、30日間一日3個以上の卵を食べた人、及び低
コレステロール食の人について、その影響を調べました。
その結果、コレステロール含有の卵食を摂った人では、大粒子LDLの割合が
増えましたが、より危険とされる小LDL粒子はほとんど変化が無いことがわか
ったというものです。
この報告では、直接心疾患にかかる割合などを調べていませんが、卵を食
べても大丈夫かなと思わせます。
ただ、この研究は、米国卵協会から資金援助などの後援がされている事が気
になりますが・・・。
ところで、以前からも、卵黄には約200mgのコレステロールが入っており、
心臓病などの問題を起こしやすいことが報告されていました。
しかし、米国心臓学会(American Heart Association)は、毎日1個以上の
卵を食べても、心臓病には重大な影響は無いとしています。
しかしその一方で、平均一日あたりのコレステロール量を300mg以下にするよ
うにとも勧告するなど、もう一つ釈然としたものではありません。
卵自体は消化しやすく、タンパク質が豊富で、さらに抗酸化物質であるルチ
ンやビタミンA,EやB、さらに葉酸なども多く含まれている良質の食品です。
総合的に考えると今回のデータだけではなんとも言えず、卵だけでなく他の
食事の仕方も重要と思われます。
毎日、必要以上に沢山の卵を食べるのは決して健康によくないのですが、週
に1〜2回程度の卵食は健康によいのではないでしょうか?
もちろん、コレステロール値の高い人は、卵の摂取量をより少なくしたほう
がよさそうですが・・・。
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ついにイチローがやりました。前人未到の大記録です。ジョージ・シスラー
のタイ記録257本を打ったかと思えば、その後スルスルと新記録を作ってしま
いました。素晴らしいの一言です。
昔、イチローがまだ2軍選手だった時に、テレビのインタビューに、「イチ
ローという名を覚えておいて下さい。必ず活躍しますから」と堂々と言ったの
を覚えています。
その時は、”名前が面白いけどなー”くらいの印象だったのですが、とうと
う世界の頂点に立ってしまいました。
では、新記録を達成した試合後のイチローの言葉。
「自分は体も大きくない。大リーグでは一番小さい方だ。
でも、このような記録を作る事が出来た。
日本の、そしてアメリカの子供達に、自分の可能性を抑えないで欲しい、
と強く思います」
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