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● 自殺や突然死の予防には、魚に含まれるn-3系脂肪酸を多く摂る
先ずは、皆様の嫌いな化学のお話から。
脂肪酸は一方の端にメチル基(−CH3)、他方の端にカルボキシル基(−COOH)
が付いた長い炭素の鎖構造をとっています。
この炭素の鎖の一部が二重構造となっているものを、不飽和脂肪酸と呼んで
います。
そして不飽和脂肪酸の内、メチル末端の炭素から数えて3つめが最初の二重
結合であるものをn−3系脂肪酸といいます。
n−3系脂肪酸には、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペ
ンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、EPAやDHAは魚
の身や油に多く含まれています。
で、今日のお話です。
今回、赤血球に含まれるn−3系脂肪酸が、自殺未遂の患者さんでは低い事が
わかりました。
この報告を行ったのは、富山医科薬科大学和漢薬研究所の浜崎智仁教授らで、
山形県酒田市で開かれた日本脂質栄養学会第13回大会で、9月4日に発表した
ものです。
これは大連医科大学付属病院の患者200人を対象にしたケース・コントロー
ル研究でわかったもので、魚などを沢山食べてn−3系脂肪酸を多く摂ってい
る人は、自殺する割合が低く、自殺願望が抑えられていたそうです。
また、この研究のような自殺についてではないのですが、長鎖 n-3 脂肪酸
の血中レベルの高い人は不整脈になり難く、突然死の危険率が低いそうです。
実際に心筋梗塞の既往歴のある患者さんでも、n-3系脂肪酸含有の栄養補助
食品を摂る事により、突然死のリスクが低下することが英国医学誌(New England
Journal of Medicine, 2002; 346,: 1113)に報告されています。
今までの研究でも、魚を主食とする日本の漁村の人々に、脳血栓、心筋梗塞
などが少ないのは、EPAやDHAの摂取が多いためであることが明らかとなってい
ました。
例えば、EPA、DHAには「中性脂肪の低下」「血小板凝集の抑制」作用がある
ことが報告されています。
さらにEPAには「血液粘度の低下」「HDLの増加」が、DHAには「記憶学習能
力の向上」「視力の向上」「抗炎症作用」「血しょうコレステロール低下」な
ど多彩な生理作用があることがわかっています。
このようにn−3系脂肪酸は、色々な面で健康に重要な影響を与えるものです
が、ヒトの体内では合成されません。
従って、魚を多く食べたり、或いはサプリメントなどで補給されるとよいと
思います。
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